♯2 エタニティ ブルーム

4/6
前へ
/24ページ
次へ
「今さらってなに? 今は違うってこと? 俺と離れてる間に、永遠はもう誰かに抱かれたわけ? いや、抱く方?」 浬の言ってる意味が分からない。 なにを考えているのか分からない。 心臓だけが早鐘を打ち続ける。 「何が言いたいんだよ!」 「悪いけど、永遠がそうやって何も言わないつもりなら、俺は勝手に勘違いして、勝手に進めちゃうけど、それでいいんだよな?」 「は、何言……あ、ちょっ」 躊躇いなくジーンズの内側に差し込まれた浬の手が熱に触れる。首筋に、浬の唇が這う。 「なっ、ばかっ、なにやって!」 「セックス」 「はあ?」 「なあ、俺なら勃つ?」 口から心臓が出そう。熱くて、俺の乱れた呼吸が、首筋に吸い付く浬の肩に落ちる。 一体何が起きているのか頭で処理しきれない。それなのに、浬の手でゆるゆると布越しに擦られたそこは、あっという間に硬度をもつ。 それが、罪悪感を増幅させる。 情けなくて、泣きたくなる。 俺は友達だと偽って、浬のそばにいたわけじゃない。だけど、それさえも否定されそうで。嫌われそうで。 力任せに浬の肩を突き飛ばした。 「浬っ……待って! ほんとに、こんな悪ふざけ、やめろよ……だって、浬は違うだろ?」 浬はこっち側じゃない。  「違うって、何が違うんだよ。俺と、永遠と、何が違う? 60%の水分と、有機物で出来てる。何も違わない。区別したがるのは、人間の悪い癖だ」 「そういうことじゃなくて……俺はっ!」 口に含んだ言葉を、外に出せない。 俺は親友の、男の、浬を好きになってしまったんだ。 それは普通じゃないんだって、嫌になる程分かってる。 「俺はね、女の子が好きなんだ」 静かに、ただ、静かに。 浬の唇がそう動いた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加