復讐代行宝飾店~ミュートできるマジェステ~

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「ママはやりくり上手なのよ。 現に、ローンも(とどこお)りなく払ってるし、あんた達にも充分お小遣いをあげてるでしょ。 ママは家事もほとんど1人ででこなしてるんだから、文句があるならご飯くらい自分でよそいなさい!」 「へいへい。分かりやしたよ。 でも母さん、SNSに悪口とか書かないようにしろよ? 職場を特定されて電凸(でんとつ)されて、クビになる事だってあるんだからさ」 デントツ……!?ダントツじゃなくて? また新たなカタカナ語が!! 重ねた食器を流し台に運び、自室へ向かう階段を上り始める息子。 「ちょっと!何、デントツって!」 「『()話で()撃』だよ。カタカナ語でもないし」 ご飯を口に運びながら、説明を始める娘。 「一般の特定班も怖いけど、まずネットで匿名だからって他人を攻撃したら駄目だよ。悪口もね」 そのくらい、言われなくても分かってるわよ。 とにかく誹謗中傷しなきゃいいんでしょ? 私のは誹謗中傷じゃなくて「(まっと)うな意見」だから大丈夫。 「ごちそうさま」 手を合わせ、食器を流し台に運び、塾用の鞄を持って玄関に向かう娘。 「行ってきまーす」 「行ってらっしゃい。気を付けてね」 食器を洗い、一段落ついたところで椅子に腰掛けてスマホを手に取り、ファンクラブ用のアプリを開き、チャットの内容を確認する。
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