リターン

マリア

　はいバターも使いません
　ええ蜂蜜も
　環境問題？
　いえそういう事は
　はい

　一時間が過ぎ、最後に近影を何枚か撮影してインタビューは終わった。

「あのう、これで失礼していいでしょうか」
　そう言って引き上げようとするマリアを風見は慌てて引き止めた。山口があれっといった顔をする。
「風見さんどうしたんですか、もうインタビュー終わりでしょ？」
「いやちょっとマリアさんに個人的に」
　その言葉にマリアがふっと風見を見た。
「何でしょうか……」
「マリアさんすみません。ちょっとだけいいですか」
「構いませんけど……」
　山口は次の仕事が入っているらしく挨拶もそこそこに部屋から出て行った。

「あのう何でしょうか」

　風見と二人きりになって、マリアは急に不安な気持ちになった。