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 アリスはソファーに座り直しミネラルウォーターを一口飲んだ。そして彼女は何か考えるように窓から外を眺めた。ものの一ニ分。そしてマリアは風見に顔を戻し覚悟を決めたように口を開いた。  島を出て十五年間、誰にも話さなかった事だ。アブルの血が流れている風見にだからこそマリアは話す気になった。風見は姿勢を正して神妙に自分のルーツであるアブルの話を聞き始めた。それは実に驚く事ばかり。    最初の驚きは島民が平均百ニ十歳くらいまで生きるという事だ。更なる驚きは島民が精神年齢は差し置いて、男は十二歳、女は十歳で成長が止まるという事である。成人男女の平均身長は百四十センチ。  子供の容姿のままで、大人の体にならない。    その原因は島固有の植物アブルに他ならない。島にはアブルの木が密生している。アブルの実を食す事と、アブルが大量に放出する花粉が空気に混じって体に入る事が、大きな影響を与えるのである。    風見は子供の頃、母親からアブルの木の作用を聞いた記憶がある。アブルの島民はアブルで厄災や病から守られていると。    島の経済はアブルで成り立っている。果実を乾燥させて作るある種のサプリメントを販売しているのだ。取引先は一社で客は各国の富裕層の客のみという。島民が不老である事実から分かるように、アンチエイジングのためのサプリメントだ。それは途轍もない効果を見せる。    島は潤っている。マリアとアリスが島を出る際に上限なしのクレジットカードを持たせてもらえたのもそのお陰である。
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