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「マリアさん。 聞きにくい事ですけど子供はどうやって生まれるんですか」
風見は大胆な質問をした。
「アブル島に親子関係とかいうものは存在しません。子供を産む役目の人は決まっているんです。奄美の島に移り住んでいます──アブルの木の影響を受けないように。女王蜂みたいな感じです。精子を与える男性は島から送りますけど」
そう言ってマリアは顔を赤らめて下を向いた。
「僕の母も子供の体になってしまったのですね。僕が十歳の頃はもう随分若くなっていました……まるで僕らは歳の離れた姉弟みたいでした。何が起きるんですか、島を離れると」
「島を離れた者は奄美の島に渡るたった五六時間の内に、子供の体から年相応の体になるのです。わたしもアリスも船の上で初潮を迎えました。奄美の島に着いた時は骨の痛みで参りました。急激に成長したもので」
「でも、今はまた若くなっている」
「そうなのです。三十歳までなんです、見た目が年を取るのは。わたしは多分、人には二十五六に見えてると思います」
「羨ましい……」
「止めて下さい冗談は。また十歳に後戻りです。小さくなる前に島に帰るつもりです。"ほら見た事か"と、長のサーシャに叱られるのは目に見えていますけど……」
「叱られるだけで済むのですか。僕の母も、また受け入れてもらえたのですね」
「ええ、でも多分あなたと離れたのが辛かったのでしょう。長い間シオンさんは塞ぎ込んでいました」
「そうですか」
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