孤島

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孤島

 遡ること十五年。  奄美の島の南東に位置するアブル島での話である。 「どうしても島を出て行きたいというのですか」  月とかがり火の灯火の元、籐で複雑に編み込まれた玉座に座り、ウコンの根で染めた黄金色の長衣を身に纏った島の長のサーシャは、神々しさをも持って目の前に(ひざまず)いている二人の若い娘に問うた。  簡素な白い衣を着た二人の娘はサーシャの前でただならぬ決意を示している。
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