契約と覚悟と意地と

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「この性悪女がっ……聖壱(せいいち)はこんな女が妻でいいのか?この娘はいつかお前を裏切るに決まって……!」 「眞二(しんじ)叔父さん!それ以上香津美(かつみ)を侮辱することは許さない。もう……諦めるんだ。」  私が誰かに聖壱さんを悪く言われるのが許せないように、彼も同じように思ってくれている。  少しずつ協力し合う時間があったからこそ、お互いが相手の事を大切に思えるようになっていったんだと思うの。  それに聖壱さんはこんな私の事をずっと大事だと……好きだと言ってくれるとても暖かい人。そんな聖壱さんだから、私は…… 「そうだよ、眞二。不正取引に誘拐……証拠もそろっているし、警察もすぐに来る。もう諦めるしかないと思うよ。」  狭山(さやま)社長は静かに聖壱さんの隣に立つと、そこから動けないままでいる狭山常務に声をかけた。  狭山社長の言い方は優しかったけれど、狭山常務が反抗出来なくなるような強い言葉だった。さっきまであんなに言い訳していた常務は俯いてその場にへたり込んでしまった。  するとすぐに部屋に数名の警官が入って来て、狭山常務や周りにいた数名の男女を連れていく。  その様子を見て私も安心してしまい気が抜けたのか、フッと目の前の景色が揺らいだと思ったらそのまま意識が遠くなっていった……
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