契約と芽生えた愛情

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契約と芽生えた愛情

「……ん、ここは……?」  ゆっくりと目を開けると、ぼやけて見えるのはいつもとは違う真っ白な天井だった。どうして私はこんなところに?ゆっくりと何があったのかを思い出そうとすると…… 「香津美(かつみ)!やっと気が付いたのか?」  すぐに私の顔を覗き込むようにして、聖壱(せいいち)さんが声をかけてきた。  ああ、そうだったわ。私はあの時、事件のすべてが終わったと思いそのまま気を失って…… 「聖壱さん、狭山(さやま)常務たちは?」 「もうみんな警察だ、これから俺達も事情聴取されたりすることになるだろうが……香津美は大丈夫か?」  聖壱さんは私や月菜(つきな)さんの精神的な負担を心配しているのでしょうね。けれどそれも覚悟のうえで貴方達に協力したんだから。 「私は聖壱さんが思っているより丈夫なんだから、そんな心配いらないわよ。それより月菜さんは……?」 「いくら香津美が丈夫で強くても、俺は心配するし守りたい気持ちは変わらない。夫が妻を大切にしたくて何が悪い。柚瑠木(ゆるぎ)と月菜さんは隣の部屋にいるが……まだ月菜さんは目覚めていないようだ。」  そんな当たり前のように言われると、どうしていいのか分からなくなる。  こんな可愛くない女を守りたいなんて言う男性は今までいなかったから。聖壱さんのように私を一人の女性として大切にしてくれる男性なんて他にはいない。
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