契約と芽生えた愛情

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「……だったら、ここじゃなきゃ香津美(かつみ)も俺と同じ気持ちだって事でいいんだよな?」 「はあっ!?」  どうしてそうなるのよ?私は隣の柚瑠木(ゆるぎ)さん達の事が気になるって言っただけじゃないの。それなのに、聖壱(せいいち)さんの言い方だと……  焦ってそうじゃないと伝えようとすると、聖壱さんはポケットからスマホを取り出して誰かに電話をかけ始めた。 「沖名(おきな)か、いま時間あるか?ああ……あの時の話、ちゃんと覚えているだろう。ああ……今からだ、頼んだぞ。」  沖名さんって、職場で私に仕事を教えてくれている沖名さんよね?  今は仕事と関係ないはずなのに、どうして彼の名前が……それに「頼んだぞ」っていったい彼に何を頼むというの? 「ねえ、聖壱さん。今の電話、沖名さんって……きゃあっ!」  聖壱さんにいきなり抱き上げられて、悲鳴を上げてしまう。どうしてこの人はすぐに私をお姫様扱いするのよ! 「何を頼んだのかは後でのお楽しみ、だ。香津美、目的地に着くまでしっかり捕まってろよ?」  そう言うと聖壱さんは私を抱いたまま、ズンズンと歩きだしホテルの部屋から出てしまう。もしかして私を連れて別の場所に行くつもりなの? 「……え?ちょっと待ってよ、聖壱さん。まだ柚瑠木(ゆるぎ)さんと月菜(つきな)さんが……!」  そうよ、まだあの二人の事は解決してないんでしょう。まさか、このままにしておくつもりなの? 「柚瑠木と月菜さんだってきちんとした大人なんだし、2人で解決しなきゃいけない問題もある。しばらくは放っておくべくだ。」  そうハッキリと言われて……
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