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「どうだった。月菜さんの様子は?」
「ええ、やっぱり素直で可愛いらしい人ね。柚瑠木さんの事も一生懸命考えていて……あんな風に慕われたらきっと彼だって変わっていくわ。」
私は何となく柚瑠木さんは闇を抱えているんじゃないかと思っている。
けれど月菜さんならばそれもどうにかしてくれるんじゃないかと思うのよ。彼女の純粋な眼差しと優しい笑顔はきっと柚瑠木さんを癒してくれるはず。
「くくっ、柚瑠木だって今は月菜さんの事ばかり気にして普段の落ち着きを無くしてる。俺は今までアイツがあんなに過保護な男だとは知らなかったな。」
今まで幼馴染が見せてくれなかった顔を見れて楽しいのかしらね。聖壱さんは思い出し笑いなんかしてるのよ。でも、まあ……
「柚瑠木さんのそんな顔、ちょっと私も見たかったわね。」
「ダメだろ、香津美が他の男に興味を持つなんて許さない。たとえその相手が柚瑠木だろうと、な。」
冗談じゃ済まさないからな、と言わんばかりの聖壱さんの鋭い眼差し。
ああ、過保護なヤキモチ妬きはここにもいたわね。私がそんな特別な目で見るのは聖壱さんだけだって分かってるくせに……
「分かってるわよ。来週から始めるお料理教室も、月菜さんと一緒に頑張るから楽しみにしててね?」
そう言って聖壱さんに甘えてみせれば、ほらすぐに機嫌を直してくれるの。ふふ……余裕のつもりが聖壱さんにすぐひっくり返されて形勢逆転。私達、こんな甘い時間ばかりで本当にいいのかしら?
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