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柚瑠木さんと月菜さんの部屋の前に着くと、急いでインターフォンを押した。夜遅くに来てしまったし、月菜さんが出てきてくれるといいのだけれど……
【ピンポーン、ピンポーン……】
開かないドアの前でしばらく待っていると、中からカチャリとガキの開く音がして……少し焦った様子の月菜さんが出て来たの。
見てすぐにわかる、月菜さんの泣き腫らした瞳に胸が痛んだ。こんなになるまで柚瑠木さんの事を心配して……
やっぱり急いでここに来て正解だったわ、こんな状態の月菜さんを放っておくことは出来ない。
「すみません、香津美さん。私……」
こんな時でも私にまで気を使い謝ろうとする月菜さんを、私は自分の胸の中へと閉じ込めてしまう。だってこれ以上、辛い気持ちを抑え込んで欲しくなかったから。
「月菜さんは謝る前に、苦しいものを全部吐き出しちゃいなさい。私相手に我慢する必要はないわ。」
そう言うと、月菜さんは私にしがみついて思いきり声を上げて泣き出したのだった。こんなになるまで月菜さんはずっと一人で耐えていたのでしょうね。
これからは私が月菜さんの力になる事が出来たならばいいのに……泣きじゃくる月菜さんを抱きしめながら、そう思わずにはいられなかったの。
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