契約と新婚生活

6/11

4207人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
 正直なところ、聖壱さんは変わった人だと思ってる。  背が高くてハンサムで……会社を経営しているのだから、きっと仕事も出来るんでしょう?  それなのに私みたいな捻くれた可愛くない女に「可愛い」とか「好きだ」と何度も伝えてくるの。貴方の方が視力は大丈夫って聞きたいくらいよ。 「そこのお皿、取ってくれる?」  料理が出来上がったので、皿に盛り朝食の準備をする。聖壱さんは私が頼むと文句も言わずに手伝ってくれた。  聖壱さんって発言は俺様なのに、凄く優しいのよね。 「いただきます。」  きっちりと躾けられたのだろう、行儀よく食べ始める聖壱さん。私も食事を始めると、作った料理が少ししょっぱい事に気付く。しまった、味付けを失敗したんだわ。 「聖壱さん、この料理失敗してるの。無理に食べなくていいわ。」 「そうか?別に失敗なんてしてないだろ。俺は全部食べる。」  どうして?はっきり失敗作って分かる味じゃないの。無理しなくていいって言ってるのに、どうして貴方はそんなに嬉しそうに私の料理を食べてくれるの? 「聖壱さんってバカで味覚音痴なんだわ……」 「誰が味覚音痴だ。俺はいつもそれなりの店で食事をしてる、舌は肥えている方だ。」  そうでしょうね、さっきの料理するところを見ていたら想像つくわよ。でも、それならなぜ…… 「聖壱さんはどうして今朝は料理を作ろうと思ったの?」
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4207人が本棚に入れています
本棚に追加