契約と二度目の夜

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「聖壱さん、ダメ……だからぁ……」  この声はなんなの?聖壱さんに触れられて、自分で知らなかった甘い声が口から漏れ出てしまっていた。  聖壱さんに何度も耳朶を舐められて奥に息を吹きかけられると、背中がゾクゾクッとしてくる。身体が震えてまともに喋る事も出来なくなり、私は必死で聖壱さんのシャツを掴んだ。 「香津美、俺の背に腕を回すんだ。今日は俺にしっかりと抱きついていればいい。」  偉そうに私に命令なんてしないでよ!  ……そう思うのに、聖壱さんが与えてくる未知の感覚にどうしていいのか分からず私は彼の背に両腕を回した。  男性の厚い胸、広い背中、力強い腕……私が聖壱さんと結婚するまで知らなかったこと。 「よく出来たな、香津美。」  聖壱さんに後頭部を優しく撫でられると、気持ちが良くて彼にもっと甘えたくなってしまう。おかしいわ、私は今まで親にだってそんな風に思ったことなんてほとんどなかったのに。 「違う、こんなのは……こんな感情は、私は知らない……」  彼の背にしっかりと抱きつきながらも、心の中では葛藤に苦しんでいて……そんな私をしっかりと抱きしめかえすと、聖壱さんは言った。 「香津美、お前は俺の妻だ。お前の知らない事は、全て俺が教えてやる。」
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