契約と仕事の始まり

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 ここは【ラピスヒルズビレッジ】内にあるオフィスビル。このビルにオフィスを構えられるのは、たった一握りの人間だけという噂もあるくらいで……  オフィスゾーンの上にあるホテルはものすごく豪華なんだとか、一度見てみたい気はするわね。 「今日から俺の秘書をやってもらう、狭山 香津美さんだ。分かっているとは思うが俺の妻だ、美人だからと言って変なちょっかいを出すなよ?」  聖壱さんが私の事を紹介してくれるけど、一言多いんじゃないかしら?聖壱さん(社長)の妻だと分かっていて、ちょっかい出そうとする人はいないと思うのよ。  そのまま聖壱さんに案内されて社長室へ、そこには大きな机が一つだけ。ここが聖壱さんの仕事場…… 「ここが、まあ俺が仕事をする場所で……香津美には少し狭いかもしれないが、すぐ隣の部屋で仕事をしてもらいたいと思ってる。こっちだ。」  社長室から続く小部屋は机や色んな機器が置いてあって、確かにそう広くはないけれど私は十分働ける。 「ありがとう、聖壱さん。頑張るわ。」 「ああ、頼りにしてる。最初は大変かもしれないが頑張ってほしい。」  「頼りにしてる」なんて嬉しい言葉かしら?今までは「貴女は何もしなくていいから」と言われ続けてきたのに、今の私はこうして必要とされている。 「それと……さっき挨拶した中にいた茶髪の針山という男とは、よろしくしなくていい。アイツは美人を見ると見境が無いからな、もし少しでも何かされたら俺に言え。」  あの、聖壱さん。公私混同はしないんじゃなかったんですか……?彼の言動に思わず笑ってしまいそうになるわ。
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