契約と仕事の始まり

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 聖壱さんの的確な指示と沖名さんの教え方のうまさもあって、私が仕事に順調に仕事を覚えていくことが出来た。  ただ余計な事を考えずに仕事に集中出来たのは最初の一週間ほどで……すぐにもしかしたら、と思っていたことが現実になった。  最初は小さな悪戯みたいなものだったわよ?消しゴムや赤ペンなどの筆記用具がしばらく消えてまた戻ってくる、とかね。  子供みたいな嫌がらせを気にする気にもならなくて、そのままにしておいたの。そうしたら今度はデスクに画鋲、本当に陰湿ね。  私の働く部屋は社長室と繋がってる、だからこんな所まで嫌がらせに来ていたら、目立ってすぐに分かるのよ。新人の私にも嫌がらせの犯人がすぐに目星がついてしまう。 「聖壱さん、今日のお昼休みはちょっと用事があるから一緒にはとれないわ。」  私は早速犯人を捕まえて、こんな事をする理由を話してもらおうと思ったの。まあ、だいたいの予想はついているのだけどね。 「……分かっているだろうが、危ないことはするな。お前はここの社員だが、その前に俺の妻なんだから。」 「ええ、約束するわ。」  どうやら聖壱さんは私が何をしようとしているのか、知っていたみたい。心配しながらも私の行動を見守ろうとしてくれる優しさが嬉しかった。
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