契約と仕事の始まり

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 私は彼女にも分かるように大きくため息をついてみせた。だってそうでしょ?私たちの結婚が会社のためだけだろうと、刀山さんには何の関係もないわけで。 「それがどうしたの?私たちのような立場の人間がそんな結婚をすることは珍しくもなんともないわよ?」 「だったらもっと自分の立場を理解して、狭山社長にベタベタするのは止めたらどうですか?彼はきっと迷惑してます。」  はあ?私の立場を理解するって何?私の立場は聖壱さんの妻であり、社長の秘書ですけど。それに私から聖壱さんにベタベタしたことなんてありませんし。 「ちょっと言ってる意味が分からないわね。私の立場がどうこう言う前に、自分の立場をよく考えた方がいいんじゃない?」  確かに私はこの会社では新人だけれど、社長の妻でもある。他の人間に聞かれて立場が悪くなるのは彼女の方だと思うから。 「何ですって!アンタなんてお金があるから選んでもらえただけの、ただの成金お嬢様のくせにっ!」 「悔しかったら貴女も誰かにお金を用意してもらえば?それで聖壱さんから選んでもらえるかは分からないけれどね?」  言われたからにはちゃんと言い返すわよ?私は大人しい妹と違って、自分の腹が立ったら我慢しない事にしているの。  それに私だって、いつまでもただのお飾りの妻でいるつもりなんて無いしね。
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