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「偉そうに言わないでよ、アンタなんてお金しか必要とされてないんじゃない。お金さえあれば私の方がずっと……!」
あら、偉そうに言ってるのはどっちの方かしらね?先に喧嘩腰になったのはそっちじゃないの。
確かに私たちの結婚にお金が絡んでないかと言えば嘘になる。お金があるから私が選ばれたと言う刀山さんの言葉も間違いじゃない。
だけどね……
「確かに最初は彼からも「お金のための結婚」だと言われたけれどね、今はそうじゃないらしいわよ?聖壱さんは毎晩毎晩、私の耳元で「愛している」と囁いてくれているわ。きっと今夜も……」
刀山さんに勝ち誇ったように「ふふふ」と笑って見せる。
もしかしたら何か誤解を生む言い方をしたかもしれないけれど、私は一つも嘘はついていない。
「何それ、自慢のつもり?社長もどこがいいのよ、こんな性悪女っ……!」
刀山さんはギリギリと悔しそうに唇を噛んで、そのまま私に右手を上げた。
しまったわ、少し怒らせすぎたみたい。聖壱さんに気を付けろと言われていたのに――――
バシッという音とともに頬に衝撃と痛みが来るはず……だったのに、それはいつまでも来なくて。
そっと目を開けてみると、私の前にはいつの間にか聖壱さんが立っていた。
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