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社長室に入るなり、聖壱さんによって身体をソファーへと投げ出される。
「大事な妻とやらをあまり乱暴に扱わないでくれない?確かに口が悪かったかもしれないけれど、今回は私の方が被害者なのよ。」
ちゃんと分かってるわよ。聖壱さんは私のとった行動が、貴方の妻としてふさわしくないから怒っているんでしょう?
だけど今回の事は刀山さんが執拗に私を煽ってきたのも、こうなった理由の一つじゃないの?
私はてっきりそう思っていたのだけれど……
「そうじゃない。香津美、お前は俺が怒ってる理由がちゃんと分かっていない。」
聖壱さんはそう言って、ソファーに倒された状態の私に覆いかぶさってきた。
ちょっと待って、ここは社長室よ。聖壱さんは会社では公私混同はしないんじゃなかったの!?
「り、理由?考えるから私の上からどいて頂戴!」
近いの、聖壱さんとの距離が近すぎるの。私は慣れない状況に焦ってしまい、頭がきちんと働いてくれない。
「駄目だ。香津美は俺の言う事をきちんと聞こうとしていない。だから……」
聖壱さんの言う事を聞いてないわけじゃないのよ。あの時は刀山さんの態度にイラついて、ちょっとだけ忘れていただけなのよ。
今、聖壱さんはいつもみたいに自信満々な笑みを浮かべていない。笑みどころか、怖いくらいに無表情で……
「だから……?」
「香津美には俺の言う事を聞かなかったらどうなるか、今からしっかり教えておこうと思ってる。」
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