契約と新婚初夜

1/9

4207人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ

契約と新婚初夜

「何なの、ここは……」  後部座先のドアを開けられ外へ出てみる。見たことも無い景色に、どこに連れて来られたんだろうと不安になる。 「ここは選ばれた人間だけが暮らすことが出来る【ラピス・ヒルズビレッジ】だ。香津美も名前くらい聞いた事があるだろう?」 「【ラピス・ヒルズビレッジ】ですって!?」  噂には聞いた事があるわ。旧財閥家が所有しているらしく……レジデンスにはビルの幹部、財閥の御曹司や令嬢が暮らしている。そして最上階に住んでいるのはもの凄い資産家なんだとか。  総合病院は日本有数の外科チームがいるし、産婦人科は芸能人やセレブの御用達。豪華な食事も出るらしく、いつも予約でいっぱいらしいわ。  そしてセレブ達御用達のテナント。今までどこのお店も取材に応じたことが無いらしくよくは知らないのだけど。 そんな特別な人ばかりが集まる場所、それが【ラピス・ヒルズビレッジ】 「俺の会社もこのオフィスビルの中に入っているし、これから香津美と俺が住み新居もここだ。嬉しいだろう?」  さあ、喜んで見せろと言わんばかリの聖壱さんも表情。確かに私も岩崎の叔父様の姪として色んな所に連れて行ってもらったけれど、こんな特別な場所は初めてだわ。 「ここで長く暮らしたいんだったら、せいぜい頑張るんだな。奥さん?」  あら、私を挑発する気?いい度胸してるじゃない、いまに吠え面かかせてやるわよ。性悪女の実力を甘く見ないでよね。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4207人が本棚に入れています
本棚に追加