契約と新妻の自覚

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 聖壱さんの唇が私の首筋をなぞる、私の反応を確かめるようにゆっくりと。彼の吐息が耳朶をかすめて背中がゾワゾワするの、こんなの絶対気持ちいいことなんかじゃない。  これから彼に触れられると思うと、緊張で身体が固まってしまう。 「香津美、そんなに俺を怖がるな。少し香津美の身体に触れるだけだから。」  聖壱さんの言葉に、私はブンブンと首を振る。聖壱さんのことは怖くないけれど、身体をに触れられるのは怖い。まだ知らない自分を貴方に暴かれてしまいいそうな気がするの。 「や……っ、待って……お願い……」  今まで誰かにこんな事を頼んだことなんてないかもしれない。私はお嬢様育ちというこのプライドの高さ以外、何も持ってなかったから。 「香津美のそんな顔、凄くそそられる……」  私のお願いは聞いてもらえず、聖壱さんは私のシャツのボタンを外してしまう。はらりと左右に開かれたシャツ、私の白い肌を聖壱さんにじっぐりと見られていて…… 「そんなに、見ないで……」  両腕で隠したいのに、隠すことは許されない。緊張で荒くなる呼吸も、震える胸も全部聖壱さんにはバレているはず。 「香津美は顔だけじゃなく身体まで美しいんだな。本当に夫になる男が俺で良かった……」  恥ずかしくて、顔が紅潮していくのが自分でもわかる。そりゃあ、私だって夫となった人が聖壱さんで良かったとは思うけれど。
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