契約と寂しい気持ち

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 もし問い詰めるとするならば、いつが一番良いかを考える。聖壱さんは勘の良い人だから、簡単には私の思うようにはいかないでしょうし。  誰かに頼んで仕事中に、彼を逃げられないようにするっていうのはどうかしら。  ……ううん、無理よね。あの会社には聖壱さんの味方ばかり。私のために動いてくれるような人はいないわ。  それならやっぱり二人きりで話せる、この部屋が良いんじゃないかしら。だけど今までのように聞いてみてもきっと笑って誤魔化されるだけ。どうすれば……?  少しでも早く聖壱さんの考えていることが知りたいのに、良い考えが何も浮かばない。  私は諦めてパンプスを履くと玄関を出た。こんな時普通の夫婦だったら、どうやって相手の気持ちを確かめるのかしらね……?  考えれば考えるほど、聖壱さんのことが分からない。とうとう彼が、私の事を本当に愛しているのかも不安になってしまって。 「もう、別れた方がいいのかしら……?」  なんて呟いてみると、なんだかすごく悲しくなってきて……そのままスマホを開いて聖壱さんにメッセージを送った。 『私が邪魔になったのなら、いつでも離婚してあげるわよ?』  どうしてこんな時まで、こんなに意地っ張りなのかしら?こんな性格だから、やっぱり誰にも愛してなんかもらえない。  すぐそばのオフィスビルに向かうだけなのに、その足取りは重くて……とうとう立ち止まり俯いてしまった。 「つみ……香津美っ!」
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