契約と寂しい気持ち

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   でもまだ肝心なことが聞けていないわ。聖壱さんの言う身内のゴタゴタっていうのは……? 「ねえ、聖壱さん。もし身内の事で悩んでいる事があるのなら、私にも話して欲しいの。何か力になれるかもしれないし……私は貴方の妻なんだから、聖壱さんの身内の問題は私の問題でもあると思うのよ。」  私を大切に思ってくれるこの人の力になりたいと思った。事情を知らない私なんかに何が出来るのかは分からなかったけれど。 「香津美の気持ちは嬉しい、だが俺はお前を危険な目には合わせたくないんだ。」  聖壱さんから帰ってきたのは予想通りの答えだった。彼は私を巻き込むくらいなら距離を置こうとまでする人だから。でも…… 「何も知らされず距離を置かれる方が私は嫌だわ。私達は夫婦で社長と秘書の関係なのよ、こういう時は二人で力を合わせるべきだと思わないの?」  私の言葉に聖壱さんは黙り込んでしまう。やはり無理を言いすぎたのかしらね、でもこれはすべて私の本音だから…… 「本当にいいのか?香津美はこれから俺の妻として協力してくれるのか?もし、お前が危険な目にでもあったら……」 「その時は、聖壱さんが助けに来てくれるんでしょう?貴方は私の夫なんですもの。」  そう言って笑って見せると、また聖壱さんから抱きしめられてしまう。今度は彼が私に甘えているようで、胸の奥が何だかムズムズしてしまった。
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