契約と夫の気持ち

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「こういう時ほど輝く女なんだな、香津美は。自由にさせてやりたい気もするし、守ってやりたくもなる。いつも俺の方が振り回されてばかりだ。」  聖壱さんは私の手首から自分の手を離して、そっと私を起き上がらせてくれる。そのまま宝物を扱うかのように優しく抱きしめるから、文句も言えなくなるの。 「聖壱さんが見守っていてくれるって分かってるから、私も好きに出来るのよ?何かあったときには貴方が頼りなんだから、ね。」  そう、今までは家族にこの性格を注意されるばかりだった。だけど、今は違う……私のこの性格を理解し、そっと支えてくれる聖壱さんがいるから。 「香津美は俺をその気にさせるのが上手いな。それに、そんな事を言われて反対すれば俺は心の狭い夫になる。」 「そうね、私の夫はそんな器の小さな男じゃないはずだわ。」  彼の言葉に合わせるように返事を帰すと、聖壱さんは大きく息を吐いた後抱きしめていた腕を緩めた。 「香津美が俺を信頼するのなら、俺も香津美の事を信じる。だけど決して無理だけはするな、分かったな?」 「ええ、約束する。」  コクンと頷き顔を上げると,なぜか聖壱さんの顔が近付いて……私は彼に合わせるように瞳を閉じた。彼の柔らかな唇が私のそれに触れる。  初めて唇が触れた時とは何かが違う、伝わってくる彼の温もりがほんの少しだけ愛しいと思った。
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