契約と覚悟と意地と

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「ほお、彼女達があの生意気な聖壱(せいいち)と二階堂 柚瑠木(ゆるぎ)の奥さんかね。なるほど、聞いてはいたが二人には勿体無いほどの美人だな。」  私達をそんな品定めでもするかのような目で見ないで欲しいわね。そう言いたいけれど我慢よ、いま余計な発言をすれば月菜(つきな)さんを巻き込みかねない。 「本当ね、しかもあの子たちこの娘たちの身内から支援してもらい放題らしいじゃない?本当にあの子達ばかりいつも良い思いをして……」  いったい何を言っているの?確かに聖壱さんは岩崎の叔父様の会社と繋がりはあるけれど、きちんとした契約を交わしてるわ。そんな私の身内に甘えるようなことはしていないのに。  ちゃんと聖壱さん達の仕事ぶりを知っていれば、そんな事を言うはずがない。きっと彼らにとって邪魔な存在としてでしか、2人の事を見ていないのでしょうね。 「そうそう、その上俺たちの事をコソコソ嗅ぎまわって。社長の息子だからって特別扱いされて、目障りでしょうがないんだ。」  聞いているとだんだん腹が立ってくるわね、本当に2人の事を何も知らないくせに。でもこうやって時間を稼いでいれば―――― 「まあまあ、お喋りはそのくらいにして……そろそろ始めましょうか?」  私達に最初に話しかけてきた、年配の男性が立ち上がりそう言った。やはりこの人がこの中のリーダー的存在みたいね。
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