契約と覚悟と意地と

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 不正取引をしている重役の人物までは聞いて無かったから、聖壱(せいいち)さんの驚いた様子が演技なのは本当なのかまでは分からない。  けれどまさか狭山(さやま)常務がそんな事をしているなんて…… 「ああ、だけど君たちの不満を持っているのは私一人ではないよ。君たちだって分かっているだろう?」  やはりここに集まっている人達は聖壱さんと柚瑠木(ゆるぎ)さんの存在を邪魔だと感じている人達ばかりなのね。2人がどれだけ頑張っているのか知りもしないくせに。 「……眞二(しんじ)叔父さん、アナタは何が望みなんだ?」  唸るような低い声で、聖壱さんは狭山常務の要求を聞いた。聖壱さんのその言葉に狭山常務は勝者の笑みを浮かべる。 「まずはコソコソと君達が集めていた私たちの不正取引のデータ、この本体やコピー全てを私達に渡しなさい。知らないとは言わせないよ?」  ……やはりこの人達はそれが狙いだったのね。けれどその証拠欲しさだけに私達を攫ったとは思えない、彼らにはもっと別の要求があるような気がする。 「叔父さんの最初の要求はやはりそれなんだな。で、次の要求はいったい何だというんだ?」  やはり聖壱さんも狭山常務の要求がそれだけではないことは、最初から分かっていたようで……早く次の要求を聞きたがっているようだわ。
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