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ぼんやりと顔を上げた。
ここはどこだろう。薄靄がかかった世界。
何をしていたっけ?
頭の中にも靄があるようだ。
全てがハッキリしない・・・。
徐々に見え始める世界。
どうやら川原のようだ。
澱みなくさらさらと流れる水音がする。
そして、果てしなく暗い・・・・・・夜だろうか。
ただ、川の向こうだけが仄明るく、まるで遠くに都市があるかのように光が揺らめいて見える。
マナは倒れていた。
軽石ばかりの川原だ。
ゆっくりと膝を立てる。
「まだ、暗い?光は見えない?」
「え・・・・・・」
突然の声にゾッとして振り返った。
そこには小さな男の子がいた。
身長100cmに満たない・・・・・・幼稚園児くらいだろうか。
日本語だから、日本人なんだろうけど、傍目に見て彼は奇妙な格好をしていた。
赤いキノコのような帽子、ダボダボの服。そしてお腹や背中に背負った大きな白の布袋。まるでサンタかと突っ込みを入れたくなるような出で立ちだ。
「君、何、誰・・・?」
迷子かと思ったが、聞けなかった。
だって自分も迷子みたいなものだ。
大きな瞳を輝かせて男の子は言う。
「見えてないなら、拾っていいかな。その落とし物」
「え?何?」
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