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にこりともせずに男の子は、マナの足元に落ちていた何かを拾った。
それを大事そうに袋の中にしまい込む。
途端にマナは慌てた。
袋に入る寸前、その手のひらの中の何かが光ったように見えたからだ。
自分が宝石を持っていた訳は無いが、足元にあったのだから、何かを確認する権利くらいはあるだろう。
「ちょっと待って。今、何を拾ったの?ただの石じゃないよね」
「分かってない時点で必要ないでしょう?」
「いいから、もう一回見せて」
執拗な求めに、男の子は少しムッとしたようだったが、すぐにそれを返してくれた。
それは石だった。ただの細長い黒石。
だけど、何だろう。胸が騒ぐ。
「ごめん、これ・・・・・・お姉ちゃんにくれないかな」
「ええっ?せっかく良いのが手に入ったと思ったのに」
「えっ?」
「あ・・・・・・」
しまった、と言う風に男の子は口に手を当てた。そしてごまかすように「じゃ、いいよ」と言って去ろうとする。
「ちょっと、こら!で?ねえ、何がいいものなの、これの。その理由を教えてよ」
「見えない人には価値なんかないよ」
「はあ・・・・・・?」
かわいい顔してクソ生意気なガキだなと思いつつ、現状がまだ把握できないマナは、心細さも手伝って彼の後を追うことにした。
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