ワクワク老人ホーム

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ワクワク老人ホーム

「絹代さ〜ん、ご飯の時間ですよ〜。」 そう言って嬉しそうに職員がご飯を運んでくる 絹代にとっては地獄だった 口に入っているのにも関わらず 次々と無理やり口に押し込んでくる 毎度窒息しそうになる寸前で止まる つらい毎日だった 「じ、自分で食べられますから。 職員さんの手を煩わせませんから。」 震える声でそう何度も訴えた 一度だけ自分で食べてもいいと許可をもらい いざ食事をしてみたが 日頃から手を動かす事ができないでいた絹代は うまく食べる事ができなかった 「あーあ!こんなにこぼして。絹代さぁん、私の手を煩わせないんじゃなかったっけ? ほんと、何の役にも立たないただの肉塊の癖に。一丁前に文句つけるんだから。」 職員はぶつぶつと文句を言いながら 絹代の周りに散っていた食べカスを片付けた 「す・・・すみません・・・すみません。許してください・・・すみません。」 ビチャッ 職員は食べカスを片付けた雑巾を絹代の顔に投げつけた 「うるさいなぁ〜。ほら、残りも全部綺麗に食べなさいよ。」 「え、残りって。」 「今渡してあげたでしょ。全部食えよばばあ。」 雑巾を指差しニヤリと笑った 「そんな・・・これ雑巾ですよ・・・食べられません・・・。」 「えぇ〜!絹代さんそんなもったいない事するの? 自分でこぼしたんでしょ〜?それをわざわざ片付けてやったんだから、ちゃんと最後まで食べなくちゃ。」 絹代が戸惑っていると職員が近づいてきて 雑巾を手に持った そして 絹代の口に雑巾をねじ込んだ 「ほらほら〜手伝ってあげるからね〜。 絹代さんったら手が掛かって大変だわぁ!」 「やめ!・・・ご・・・ごめんな・・・さ・・・!」 絹代はだんだんと息が苦しくなり涙を流しながらやめてくれと懇願した だが職員は手を緩めない 「な〜にが煩わせません!だよ。面倒ふやしやがって。」 意識が朦朧とし始め、抵抗する手が緩んできたのを確認した職員はやっと絹代を解放した  「ぶはぁっ!!ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」 呼吸を取り戻した絹代を見て職員はニヤニヤしていた そして拘束具をキツく巻き付けながら 「今日は罰としてオムツかえませ〜ん!シーツもね! ・・・あ、いつもだった。あははは。」 そう言って高笑いして部屋を出て行った それ以来絹代は自分で食べることを諦め 窒息しそうになる食事に耐えていた もちろんオムツもシーツも替えて貰えない トイレに立つことも許されず血が滲むほどキツく 拘束具を取り付けられていた それでも文句はいえなかった ここ以外に行く場所がなかったのだ かぶれたお尻はいつの間にか痛みは消え ダニに刺されても気付かないくらいになり 糞尿垂れ流しでもベッドの下にあるバケツに全て入るので職員の手もそれ以外で煩わせる事はない 動かなければ手足はちぎれないし 床ずれなんてもう背中に感覚はない 窒息さえ我慢すれば別になんてことない そう自分に言い聞かせていた 天井を見上げ いっそボケてしまえたら もっともっと楽になれるだろうか そんなことを考えながら絹代は眠りについた
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