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「えっ?母さんが・・・そうですか、ありがとうございました。
明日にでも引き取りに行きます。」
母、絹代が息を引き取ったと連絡がきた
元気にしていると聞いていたのに
こんなにもあっけなく・・・
死に目に会う事ができなかった
あんなに優しくて良い母さんだったのに
1人で死なせてしまったなんて
正和はとても母想いだった
老人ホームに入所を決めた絹代を
本当は引き取って一緒に住もうとしたが
優しくて強く、そして頑固だった絹代は
正和一家の誘いを断り老人ホームに入ってしまった
その結果死に目に会えなかった
正和はとても落ち込んだ
家に帰って妻や子ども達になんて言おう
優しい絹代は家族みんなに愛されていた
家に帰り着いた正和は食事を済ませた妻と子ども達を呼んで話した
「ワクワク老人ホームの人から連絡が来てな・・・ばあちゃん、亡くなったらしい。」
「えっ、お義母さんが?・・・そんな。」
「ばあちゃん元気だって言ってなかったっけ?!ドッキリとかじゃないの?」
自分が1番ドッキリだと思いたい
正和はたまらず涙を零した
「昨日の夜までは普通だったんだと・・・朝見に行ったら穏やかな顔で眠るように亡くなってたって。」
つられて妻も子ども達も泣き出してしまった
「ばあちゃん、老人ホームで友達と幸せだったんかな・・・。」
「そうに決まってるじゃない・・・おばあちゃんとっても優しい人だったもの。みんなに好かれてたに違いないわよ。」
「ああ、そうだな。職員さん達もよく電話で話してくれたよ。絹代さんはとても良い人で我々職員も助かってますって。
明日引き取りに行くから。お前達も一緒に行くか?」
「いぐー!」
「ばあぢゃん・・・。」
「私も行く。」
泣きながら返事をする妻と子ども達を見て
やはり母は愛されていたんだと再確認できて
正和は少し嬉しかった
老人ホームまでは車で2時間ほどの距離があるので
今日は早めに寝ることにした
本当は生きている姿でもう1度会いたかった
最後にあったのはいつだったろう
後悔ばかり浮かんできてなかなか寝付く事が出来なかった
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