ワクワク老人ホーム

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次の日の朝 準備を終えた正和達は車に乗って絹代の待つ老人ホームを目指した 「ねぇそう言えばなんだけどお父さん、ばあちゃんのいた老人ホームってどんな所なの?」 「あ、そうかお前達は1度も行った事なかったな。 お父さんも入所してすぐ1回行ったきりだからなぁ・・・。」 絹代のいた老人ホームは面会は基本出来なかった 大病、又は危篤時に連絡が入り面会が許可される そんな制度だった 理由は家に帰りたくなってしまうからだそうだ 無理もない 1人で知らない人達とずっといれば家族に会った時に帰りたくなるのは当たり前だ なので職員がこまめに連絡をくれていた 入所してから絹代はすぐにみんなと仲良くなったと言っていた 友達ができ、優しい職員達との生活に 一緒に暮らさない家族の介入は必要ない そんな感じだった 「アットホームな感じかな。老人ホームが本当の家で、家族ってコンセプトらしい。」 「へぇ・・・じゃあばあちゃん寂しくはなかったんだ?なら良かった。」 「だね。良いところそうでよかった。」 よくもまあこんなに優しい子達に育ってくれたもんだ 妻も涙ぐんで嬉しそうにしていた 「さあ、着いたぞ。ばあちゃん家だ。」 「ようこそ高橋様!遠いところから御足労頂きましてありがとうございます」 車から降りると老人ホームの職員が丁寧に明るく出迎えてくれた 「こんにちは、少し予定より早く着いてしまいました。」 「大丈夫ですよ。早くお会いになりたかったお気持ちは分かります。本当に素敵な方でした・・・。 では、こちらに。」 老人ホームの中に案内されついて行った 本当に良い所だと思った 丁寧で優しい職員 いろんな部屋から楽しそうな声が聞こえてくる 花や利用者の作った作品の数々が飾られた綺麗な廊下 そして 「高橋絹代さんのお部屋はこちらです。」 穏やかな顔をして 眠っているようにしか見えない母の亡骸 散々泣いたと思っていたが堪らず涙が溢れ出た 「かあっ・・・さん!」 思わず駆け寄って母の亡骸を抱きしめた 続いて妻と子ども達も駆け寄ってきて泣いていた 「かあさん!かあさん!ごめんよ死に目に会えなくて・・・ごめんよ。」 「お義母さん、もっといろいろ教えて欲しかった・・・私、全然迷惑じゃなかったのに・・・死に目にまで合わせないなんて、本当、正和さんと同じで頑固なんだから・・・」 「おばあちゃん〜!!私のウエディングドレス一緒に選んでくれるって言ったじゃん・・・っ!大好きだよぉ大好きだよ・・・おばあちゃん。」 「ばあちゃん、俺高校生になったんだよ。もう可愛いボクちゃんなんて言わせないんだよ。ねえ、ばあちゃん。」 家族みんなで泣き尽くした 案内してくれた職員さんは気を利かせて そっと部屋の外に出て行った
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