ワクワク老人ホーム

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「お、お見苦しい所をお見せしまして・・・その・・・。」 散々泣き尽くしてパンパン腫れた目を一生懸命開き 出て行った職員さんに声をかけた 「大丈夫ですよ。大切な家族ですから無理もありません。絹代さんも天国で喜んでいますよきっと!」 「ありがとうございます。」 「いいえ!」 朗らかに笑う職員さんには本当に感謝しきれないほどだった 絹代の亡骸を手配しておいた搬送車に乗せ 正和達も車へと向かった 「本当にお世話になりました。きっと母はこのワクワク老人ホームで過ごせて、幸せだったと思います。 それもこれも職員の皆さん、同じホームの仲間達のおかげです。 こんなにも安らかな顔で・・・うっ・・・。 ありがとう・・・ありがとうございました・・・。」 正和は嗚咽を漏らしながら、お見送りに出てきてくれたホームの人達に何度も何度もお礼を言いながら車に乗り込んだ 老人ホームが見えなくなるまでお見送りの職員達は手を振ってくれていた 「本当に良い所だったねお父さん。」 「そうだな。」 「ばあちゃん寝てるみたいだった。」 「そうだな。」 「お義母さん、穏やかだったね。」 「そうだな。」 それからは、お通夜や葬儀で忙しかった 泣く暇もなく慌ただしくすごしいつしか涙する事なく母を思い出せるようになっていた ホームに入ってからこまめに職員さんが連絡をくれていた 友達ができたこと 手先が器用でみんなに折り紙を教えていたこと 職員さんに気を遣ってくれること いつも穏やかで笑っていること ご飯も残さず食べてくれること 他の利用者さんを宥めてくれること ここ1年、痴呆症が進行してしまっていたこと 徘徊が多いので拘束器具の取り付けの許可が欲しいと言われた時は怖くなってしまったが  徘徊時に怪我をする可能性があると言われ許可した 遺体の手足にアザがあったが、激しく抵抗するのでアザができてしまったと謝罪もしてもらった 本当に良いホームだった 自分も将来はワクワク老人ホームのような所でお世話になりたいと思った 優しい母はきっと天国で楽しく過ごしているだろう 老人ホームで過ごしたかけがえのない幸せな時間と共に・・・
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