2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありえるでしょ?……そもそも、異星人の戦艦がこの町にピンポイントで落ちたっていうのが妙だと俺は思ってて……」
ブライアンの言葉は、中途半端に途切れることになった。
頭上から、殺気。確認するよりも早く、俺とブライアンはそれぞれ左右に跳んでいた。さっきまで俺がいた付近に、バラバラと振ってくる銃弾の雨。ぼこぼこになって抉れるコンクリートの地面。
――くそ、いつの間に!
屋根の上に、二人の兵士がいた。どちらも防護マスクを被っており表情は見えない。どちらも銃を構えてこちらを狙っている。先に動いたのはブライアンの方だった。このまま固まっていては狙い撃ちされるだけ。とにかく敵を分断させれば負けはないと踏んだのだろう。
狙い通り、兵士の一人はブライアンを追いかけて西側の方へと消えていく。俺の相手は実質、小柄な方の兵士一人だけとなった。
――クオリーネ星人か?あるいはテロリストか?何にせよ、体格ならこっちが上だ、負ける気がしねえ!
触手まみれのクオリーネ星人だが、触手だらけなのはあくまで顔のみであるので、体だけではテラの民と見分けがつかない。防護マスクをつけられていては、相手がどちらであるのか判別するのは難しかった。できれば化物の方であって欲しいとおもいつつ、逃げ回りながら銃を撃って屋根の上の敵を狙う。人間の姿をしている相手より、化物の姿をしている相手の方が数倍罪悪感が少なくて済むというものだ。
「ちっ!」
俺が撃った弾は、敵の足元の屋根に当たった。その衝撃でふらついた相手がバランスを崩し、屋根の上から落下する。俺はその隙に距離を詰め、相手を倒すべく果敢に攻めた。銃でもナイフでも、サシの戦いで負ける気がまったくしない。こちとら“鬼人のオルコック”なんて異名がつくほどの腕前なのだから。
しかし、相手は想像以上にしぶとかったようだ。腕を撃ち抜かれても動きが鈍らない。右腕一本でもマシンガンを構えるだけの腕力とバランス感覚の持ち主らしく、なかなか距離を詰めさせてはくれなかった。悲しいが、持っている銃の射程距離では向こうが上である。
仕方なく、俺は手榴弾を使って吹き飛ばす作戦に出た。相手が回避できないタイミングを狙ってピンを抜き、手榴弾を敵前に転がして銃で撃ち、即座に誘爆させたのである。
最初のコメントを投稿しよう!