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暮六つの鐘が、今日も鳴る。
ゴーン ゴーン ゴーン…
暖かな光と静かな夜の合間で、茜色に輝く夕陽が人々に労いを向け、今日も沈み行く。
鴇は、其れ以降見付かる事は無かった。
無論、仁の行方を知る者も居ない。
人々は、二人は駆け落ちしたのだろうと噂した。今頃何処か遠くにて幸せに暮らしているのであろうと。
只、二人だけ。
源三郎は、其の噂を持ち出されると少しだけ気まずそうな顔をし、し乃雪はさも楽しそうに美しい笑みを見せ、何も言わなかった。
そんな二人を、夕の茜色は素知らぬ顔でほんのりと染め上げていき、其れだけであった。
了
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