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宏之は家にいても家事も育児も手伝わなかった。次の仕事を探している様子もない。
貯金はどんどん減っていく。
ついに私の我慢も限界を迎えた。
何より、このままでは生活できなくなる。
「どうするつもりなの?」
いつものようにソファーに寝転がる宏之に私は聞いた。
私が働くのでも何でもいい。とにかく先の見通しが欲しかった。
「二人を幸せにする自信がない。別れて欲しい……」
宏之は言った。
幸せにして欲しいなんて、思ってもなかった。宏之に一人で頑張らせるつもりなど微塵もない。
私だってこの先、一人で幸平を育てていく自信なんてない……。
でも、宏之を追い込んだのが私かもしれないと思うと何も言えなかった。
何より、そんな宏之と一緒に生活していくこと自体、私には無理だった。
それからすぐに宏之は家を出ていった。荷物を整理して送ったのも私だった。
離婚届けを持って最後の荷物を取りに来たのは、お義母さんだった。
「あの子も辛かったんだから由希子さんもわかってあげてね」
お義母さんの口からは謝罪の言葉は一言もなかった。
それから私は幸平を連れて仕事を探した。数年のブランクと二歳の子連れの私には、再就職は厳しかった。
養育費のことも一応決めたけれど、宏之は一度も払ってくれていない。
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