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"Lemon"
諸々の身支度を済ませた部活終わり。
疲れた身体には夕焼けの眩しさが沁みる。
それは、体育館の時間の割り当ての都合上、たとえ1時間ちょっとしか使えなくても、だ。
こういう日は『練習の密度を上げなくちゃいけないんだ』という顧問が張り切るから、疲労感はもしかするといつも以上かもしれない。
正門からは少し離れたところのあまり人目にはつかない辺りにも、夕焼けの手は伸びてきている。
まだまだ新しい校舎の壁やガラスに反射する光も、こちらの方まで届いてきている。
少しだけスポットライトを浴びた気になって、気分が高揚しそうになる。
いや。
テンションが上がっている理由はそれだけではない。
むしろ、それがイチバンの理由ではない。
最大の理由は、間違いなくコレ。
――ううん、違う。
ダメだ、ダメだ。
そんな言い方――『コレ』なんて言い方は失礼だ。
やり直し。
最大の理由は、間違いなくこの娘。
僕の腕の中にいる、この夕焼けくらいに明るい色をした髪が特徴的な、欧州系のハーフと見紛うほどに目鼻立ちのくっきりとした、贔屓目に見なくたって美人な女の子だ。
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