僕がポンコツαになりまして【嘉月 side】

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それは、珍しくゆーちゃんの部活が長引いて僕1人だけで帰っていた時のこと。 部活で疲れてるゆーちゃんのために甘いおやつでも買って帰ろうと、滅多に通らない道を通った瞬間・・・。 ーブワッ。 ホールケーキに生クリームをドバドバかけまくったような甘ったるい匂いがして、一瞬で気持ちが悪くなる。 こんなとこにはケーキ屋さんなんかないはずなのにと不思議に思って周りを見たら、赤い顔をした男の人が蹲っていた。 男の人の様子から、発情期(ヒート)が起きていることを悟る。 ・・・え、待って。 何で僕、吐きそうではあるけどこんなに余裕なんだ? 世の中にはαがΩの発情期(ヒート)につられて発情期(ラット)を起こさないためにα専用の抑制剤があるけど、僕はそんなもの服用していない。 それなのに何で僕は発情期(ラット)が起きないんだ・・・? もしかして、本当はβだったんじゃ?と最悪な考えが脳裏を過ぎった途端。 『・・・α、()ぁ。なぁ、せーえきちょう()い?』 蹲っていたはずの男の人がフラフラと僕の元へ歩いて来ながらそう言った。 『え?僕、α・・・?』 『?そー()しょ?いーにおいするぅ。』 男の人が近付く度、胸を渦巻く気持ち悪さが増していく。 αなのに、がおかしい。 そのを考えるよりも先に、男の人が僕の体に触れた。 ーーーコレジャナイ。ボクガホシイノハ・・・。 ーバシンッ!! 『った・・・。な、にぃ?いたいん()()ぉ。』 『あ、っ。』 気付けば僕は、男の人の手を振り払っていた。
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