僕がポンコツαになりまして【嘉月 side】

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先生が言っていたことの半分も理解していないまま、僕はバース性欄に“α”と書かれた検査結果片手に家へと帰ってきた。 出迎えてくれた母さん(♂)は、僕の顔が死にそうだったからか、はたまた病院から電話がかかっていたのか、心配そうに僕を見つめていた。 ・・・そんな顔をされたら、今日あったこと全部話してしまうじゃないか。 『・・・僕、“α”だった。』 『分かっていましたよ。』 『でも普通のαじゃなくて、Ωの匂い(フェロモン)が嗅ぎ取れないポンコツなαだった。』 『嗅ぎ取れなくてもいいじゃないですか。βみたいに匂い(フェロモン)じゃなくて容姿や性格を見て恋が出来るんですよ?』 『Ωの発情期(ヒート)の時でも、相性が良くない限り異臭だと感じるだで・・・?』 『事前に自分と相性が悪いと分かって最高ですよ。容姿に騙されて後から変なことに巻き込まれなくて済みます。』 母さん(♂)は僕が自分のポンコツな部分を言う度に、プラスな面を返してくれる。 慰めの言葉はないのに言葉の端々から『大丈夫ですよ。』と母さん(♂)に言われてるような気がして、僕は知らず知らずの内にポロポロと涙を零していた。 ・・・そして口から漏れ出たのは、僕が今日気付いてしまった自分の本音(想い)。 『・・・僕、ゆーちゃんが好き。ゆーちゃんがαって分かっとるけど、それでも僕は、ゆーちゃんが好きだ。』 『・・・あー。やっぱり気付いてなかったんですね。』 『?何が?』 『まぁ親が恋愛に首を突っ込むものでもないですし、馬に蹴られたくはないので黙っておきますか。』 『ちょっと母さん!?1人で納得しとらんで教えてくれんだか!?』 『こういうものは自分で解決すべきですよ、嘉月君。僕はその恋、応援します。僕、昔から嘉月君のお嫁さんは侑萊君が良かったので。』 母さん(♂)がそう言った瞬間、思い浮かんだのはゆーちゃんがエプロン姿で僕を出迎えてくれる光景で。 『おかえり。』ってご飯のいい匂いがするゆーちゃんを、玄関先で抱き締めて・・・。 『顔がゆるゆるです、嘉月君。』 『ゆ、緩くない・・・。』 『そんな分かりやすい嘘を・・・。あ。そう言えば、嘉月君が高校に入学するちょっと前から父さんと一緒にアメリカに行くことになりました。』 『と、唐突・・・。って、僕家事(なん)も出来んのだけど!?』 『ふっ、ふっ、ふっ。聞いて驚いてください。池田家とお話ししまして、何と侑萊君が我が家に住むことになりました!!良かったですね、嘉月君。』 ・・・あの、母さん(♂)? それ全然良くないのですが??? ザ・思春期な男子が好きな子と1つ屋根の下とか絶対危ないんですが??? 母さん(♂)、僕の理性を試すようなことはやめて欲しかったです・・・。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 次話から受け目線&高校生編になります!! プロローグに辿り着くまで後少しですので、もう少々お待ちください!! ・補足説明・ 侑萊と嘉月は運命の番なのになぜすれ違っているのか →まだまだバース性が発達してなかった時期に出会ったため、バース性が100%Ωな侑萊は気付けたけど嘉月は『ゆーちゃんいい匂いするなぁ。』としか思ってなかった (ちなみに侑萊はシトラス系の匂い(フェロモン)なのでたいてい香水と間違われる) ちなみに両親sは両方のバース性を知ってるため、同棲中に番になっちゃえと思ってる
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