俺達が高校生になりまして

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『・・・ほんっとうに申し訳ございませんでした!!』 嘉月首噛み事件から数分後。 ようやく覚醒した嘉月は、俺が怒ってる理由を聞いた瞬間勢いよく土下座した。 ピコピコ上下に動く頭が首を振る虎の玩具に似ていて、俺は思わず笑ってしまう。 『ふふっ。』 『?ゆーちゃん、もう怒ってないん?』 『まぁ、本気で怒っとったわけじゃないけぇな。ただ、もしも“Ω”にしちゃってたら望まん番関係を結んじゃってたかもしれんだろ?そしたらきっと、嘉月が悲しむけぇ。』 『ゆーちゃん・・・。』 俺もプロテクターを着けてなかったらかなりやばかったけどな。 寝る時はいっつも外して寝てたけど、山名家にいる間は着けっぱなしにしといた方がいいかもしれん。 うん、そうしよう。 『さっ、入学式の準備せな。俺は昼ご飯の準備してくるけ。』 『・・・分かった。』 『あっ、そういや俺はどこの部屋使えばいいん?』 『僕の隣の部屋だで。まだ完全には掃除できとらんけ、入学式が終わってからでいい?』 『了解。じゃ、俺先に下行っとくけな。』 そそくさと嘉月の部屋を出た後、俺は全速力で階段を駆け下りる。 あれ以上嘉月の部屋にいれば、ボロが出そうで怖かったからだ。 嘉月の前では何とか冷静でいられたけど、プロテクター越しに噛まれた項は未だにじんわりと熱を持っているし・・・発情期(ヒート)の時みたいに(ナカ)が疼いてる。 あのまま部屋にいれば無理矢理嘉月に迫っていたかもしれないと、改めてΩの本能の怖さを感じた。 ・・・それでも、俺は。 『・・・俺は“α”だ。絶対本能なんかに負けん。』 嘉月が望む池田侑萊(α)にならないといけないんだ。
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