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嘉月と別れた後、1-4と書かれたクラスに入れば半分近くの席が埋まっていた。
ホワイトボードを見ると席順が貼り出されていて、俺の席は廊下側の1番前だ。
隣の席には荷物が置いてないから、まだ来てないんだろう。
・・・ところで、吉川蜜瓏って何て読むんだ?
この席順が五十音順ならたぶん吉川じゃなくて吉川だろうけど、下の名前が全然読めない。
みつりゅう、か・・・?と読み方を考えていると。
ーガタッ。
田舎では滅多にお目にかかれない金髪のイケメンがホワイトボードをチラッと見た後、俺の隣に座った。
つまり、この人が吉川蜜瓏・・・。
男の子だったら仲良くなれるかなって思ったけど、金髪で耳にピアス着けてる不良(?)に話しかける勇気は俺にはない。
・・・チキンじゃないぞ、別に。
『ねぇ。』
『っ、はいっ!?』
『ボク、吉川蜜瓏って言うんだけどぉ、君の名前って何て読むん?』
『い、池田侑萊って読む、んだけど。』
『侑萊君かぁ、かっこいい名前だなぁ。』
『そ、そう?』
何だろう、この子。
見た目は不良(?)みたいなのに、中身はぽわぽわしてそうなんだけど。
もしかして、そんなに怖い子じゃない・・・?
高校初の友達が出来たりする、のか・・・?
『あ、あの、あのなぁ?』
『ん?』
『ボクこの学校に友達おらんのだけどぉ・・・その、と、友達に、なってくれんかぁ・・・?』
あ、ぜんっぜん怖くなかったわ。
むしろプルプル震えるポメラニアンにしか見えなくなってきたぞ。
何なんだこの子は。
『だ、ダメなん・・・?』
『全然むしろ友達になってくれんか?』
『っ!!ありがとなぁっ!!』
何なんだこの子は可愛いの権化かそうかそうか(ノンブレス)。
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