929人が本棚に入れています
本棚に追加
入学式が始まるまでに聞いた蜜瓏の話では、本当は不良などではなく(やっぱりか)、単純に片想いの相手が『遊び慣れてるやつじゃないと付き合わねェ。』って公言してるので1度でもいいから“アソンデ”もらうために金髪にしてるらしい。
・・・何だこの健気な子は。
そんな悪いやつ(?)なんか選ばなくても絶対選り取り見取りだろうに。
『小学校から一緒で1つ上の先輩なんだけどなぁ。ボクが・・・そのぉ、からかわれとった時に助けてくれて、ひ、一目惚れしちゃったんよぉ・・・。』
と顔を赤らめながら話してくれた蜜瓏にそんなことは言えず、俺はずっと蜜瓏の頭を撫でまくるマシーンと化していたのは余談だ。
・・・そして現在。
無事に入学式が終わったので、蜜瓏と親睦を深めるべく人気のない中庭に来ていた。
さすがに人が多い教室でプライベートな話はしたくないからな。
『侑萊君・・・えっと、ゆー君って呼んでもいい?』
『あぁ。好きなように呼んでくれたらいいで。』
『!!じゃ、じゃあ、ゆー君って呼ぶなぁっ!!・・・え、えっと言いにくいかもしれんけどぉ、ゆー君ってΩだでなぁ?』
『・・・な、何で分かっただ?そんな分かりやすかっただか?』
『ち、違うで!?ボクが匂いに敏感なΩなだけ・・・。普通の人ならたぶん気付かんよ。』
『そっか。』
柚貴先生も嗅覚が鋭いαやΩなら俺が“Ω”だってバレる可能性がある、って言ってたな。
蜜瓏はバース性を誰かに言うようなタイプには見えないから、バレたのが蜜瓏で良かった。
『・・・あ、あのさぁ。もう1つ言いにくそうなこと聞いていい?』
『答えれる範囲ならいいで。』
『ゆー君って、発情期もう来とるぅ?ボクまだ来とらんけぇ、準備とか何かあるんか聞いときたくて・・・。』
『俺はもう来とる。俺は父さん・・・俺を産んだ方がΩだったけぇ、いろいろ準備してもらったで。』
『そっかぁ。ボクのお父さんとお母さんは男女の番だから、女Ωのお母さんは何準備すればいいか分からんらしくって・・・。』
『あー。俺でいいなら全然教えるけど、LINEとかで話そうで?文字の方が分かりやすいだろうし。』
『それもそうだね・・・。え、えっとLINE交換するの初めてなんだけど、どうすればいいん?』
・・・神様、俺この子のためなら何だってします(真顔)。
最初のコメントを投稿しよう!