俺達が高校生になりまして

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入学式が始まるまでに聞いた蜜瓏の話では、本当は不良などではなく(やっぱりか)、単純に片想いの相手が『遊び慣れてるやつじゃないと付き合わねェ。』って公言してるので1度でもいいから“アソンデ”もらうために金髪にしてるらしい。 ・・・何だこの健気な子は。 そんな悪いやつ(?)なんか選ばなくても絶対選り取り見取りだろうに。 『小学校から一緒で1つ上の先輩なんだけどなぁ。ボクが・・・そのぉ、からかわれとった時に助けてくれて、ひ、一目惚れしちゃったんよぉ・・・。』 と顔を赤らめながら話してくれた蜜瓏にそんなことは言えず、俺はずっと蜜瓏の頭を撫でまくるマシーンと化していたのは余談だ。 ・・・そして現在。 無事に入学式が終わったので、蜜瓏と親睦を深めるべく人気のない中庭に来ていた。 さすがに人が多い教室でプライベートな話はしたくないからな。 『侑萊君・・・えっと、ゆー君って呼んでもいい?』 『あぁ。好きなように呼んでくれたらいいで。』 『!!じゃ、じゃあ、ゆー君って呼ぶなぁっ!!・・・え、えっと言いにくいかもしれんけどぉ、ゆー君ってΩだでなぁ?』 『・・・な、何で分かっただ?そんな分かりやすかっただか?』 『ち、違うで!?ボクが匂い(フェロモン)に敏感なΩなだけ・・・。普通の人ならたぶん気付かんよ。』 『そっか。』 柚貴先生も嗅覚が鋭いαやΩなら俺が“Ω”だってバレる可能性がある、って言ってたな。 蜜瓏はバース性を誰かに言うようなタイプには見えないから、バレたのが蜜瓏で良かった。 『・・・あ、あのさぁ。もう1つ言いにくそうなこと聞いていい?』 『答えれる範囲ならいいで。』 『ゆー君って、発情期(ヒート)もう来とるぅ?ボクまだ来とらんけぇ、準備とか何かあるんか聞いときたくて・・・。』 『俺はもう来とる。俺は父さん・・・俺を産んだ方がΩだったけぇ、いろいろ準備してもらったで。』 『そっかぁ。ボクのお父さんとお母さんは男女の番だから、女Ωのお母さんは何準備すればいいか分からんらしくって・・・。』 『あー。俺でいいなら全然教えるけど、LINEとかで話そうで?文字の方が分かりやすいだろうし。』 『それもそうだね・・・。え、えっとLINE交換するの初めてなんだけど、どうすればいいん?』 ・・・神様、俺この子のためなら何だってします(真顔)。
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