929人が本棚に入れています
本棚に追加
蜜瓏のLINEをゲットし、スキップでもしてしまいそうなくらい軽やかな足取りで山名家に帰宅する。
夕飯作る前に蜜瓏にLINEしようかな?と考えながら合鍵で扉を開けようとすれば、なぜか鍵が開いていた。
嘉月は弓道部の活動を見に行くから遅くなるって言ってたし、朝きちんと鍵をかけて出たはずなのに。
不審者の可能性を考えて、傘立てにあった傘を手に持ちながら1歩を踏み出した・・・その瞬間。
『・・・お帰り、ゆーちゃん。遅かったなぁ?』
リビングからひょっこりと嘉月が顔を出した。
『びっ、くりしたがよ・・・!!朝鍵閉めとったはずなのに開いとるけぇ、一瞬不審者かと思ったで!?帰っとるならLINE送っとけぇな!!』
『ごめんなぁ。』
困ったように笑う嘉月を見て、なぜだか体が1歩後ろに下がる。
目は確かに笑っている嘉月を捉えているのに、脳は『逃げろ。』と警鐘を鳴らしていた。
『・・・ん?何でゆーちゃん怖がっとるん?』
『そん、なこと・・・。』
『まぁいっか。・・・僕、ゆーちゃんに聞きたいことがあるんよ。今日一緒におった金髪の人、ゆーちゃんの友達なん?』
ガンッ、と鈍器で頭を殴られたような感覚に陥る。
・・・中庭で話していたのを、見られた。
会話が聞こえるくらい近くにいたのなら、俺がαじゃなくてΩだってことがバレてるだろう。
いや、それよりも蜜瓏が俺の友達かって尋ねるってことは、もしかして蜜瓏に一目惚れしたんじゃ・・・?
『ねぇ、ゆーちゃん。答えてくれん?』
『ぁ。み、蜜瓏は隣の席で、高校で初めて出来た友達・・・。』
『ふぅん?友達なのにあんな近い距離で喋っとったん?相手はゆーちゃんのことをどう思っとるか分からんのに?』
『っ!!い、たいっ!!』
力任せに両肩を掴まれ、廊下の壁に押し付けられる。
今まで嘉月にこんなことをされたことがなくて、あまりの怖さに涙がボロボロと溢れてきた。
『泣いたっていけんよ、ゆーちゃん。僕、今とっても怒っとるけぇ。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・補足説明・
なぜ嘉月がブチ切れてるのか
→αは自分のΩに対する執着がすさまじいので、例えΩの蜜瓏(嘉月は気付いてない)でも近寄ることが許せない・・・と本能がままに動いてる
(↑ちなみにまだ侑萊がΩだって気付いてない)
なお嘉月が家にいたのも『ゆーちゃんが至近距離で男と話しとった・・・。』と嫉妬して弓道部の活動なんか見てる暇がなかったから
次話は作者の気分次第でちょっと背後注意なシーンが出るかも・・・出したいですね
最初のコメントを投稿しよう!