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まだ少し痛む首にカットバンではなく湿布を貼り(カットバンだと項を噛まれたように見えるから)、1人ぼっちで通学路を歩く。
授業自体はまだ始まらないけど日直とかは今日から開始のため、運悪く日直になってしまった俺は半分寝ていた嘉月を置いてきたんだけど・・・。
嘉月も連れて来た方が良かったかもな。
2度寝とかしそうでむちゃくちゃ怖い。
俺が最後見た時はもそもそご飯を食べていたから大丈夫だと思いたいけどな・・・?
『後で電話してm『・・・おい。』っ!?』
急に声をかけられ、思わず2、3歩前に出る。
恐る恐る後ろを振り向けば、黒髪のイケメン(耳にピアス&第2ボタンまで全開)が俺を見て笑っていた。
・・・いや、この人知ってるわ。
昨日入学式で在校生代表挨拶してた、生徒会長さんだ。
『おもしれぇなァ、お前。だが、捕食者を前にその逃げ腰はダメだぜ?簡単に食われちまうからなァ。』
『会長さんが、どうしてここに?』
『お?お前ちゃんと入学式起きてたんか。それは感心感心。・・・改めて、俺は2年の吉岡櫂吏だ。お前に聞きたいことがあって、ちっとばかし待たせて貰ったぜ。』
それはストーカーというものではないのか。という言葉を無理矢理喉奥に飲み込み、会長さん・・・吉岡先輩の次の言葉を待つ。
数秒経った後、吉岡先輩から零れたのは意外な人物の名前だった。
『・・・お前さァ、吉川蜜瓏とどういう関係なん?』
『え、と。高校で初めて出来た友達ですけど・・・?』
『それは本当なんか?蜜瓏に片想いしとらんか?』
『あの、吉岡先輩ってαですよね?』
『あァ?見れば分かんだろそれくらい。』
『じゃあ、俺の匂いちゃんと嗅いでください。』
吉岡先輩は訝しげに俺を見た後、素直に俺の匂いを嗅ぐ。
嘉月がこれを見たら『ゆーちゃん隙見せんでって言ったじゃん!!』と言われそうだけど、たぶんこの人は蜜瓏以外眼中になさそうだから大丈夫なはずだ。
『αの匂いがベッタリくっついとるけど、お前自体はΩなんか・・・?』
『まぁ、一応。バース性的にはΩです。』
『何だいや!!それなら心配することなかったがよ・・・!!』
『誤解が解けたようで何よりです。・・・もしかして、蜜瓏が言ってた小学校から一緒の先輩って吉岡先輩ですか?』
『!!蜜瓏が俺の話しとったんか!?詳しく聞かせてくれんか!?』
あれ?
・・・もしかしなくても、蜜瓏と吉岡先輩は両想いじゃね?
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