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高校に入ってから2度目の夏が来た。
今年は例年よりも酷暑になると気象予報士が言っていた通り、気温は連日30度以上をマークしている。
教室内には一応クーラーが付いているけど、28度設定のせいであまり涼しいとは思わない。
暑さで死にそうだ・・・。
『ゆー君溶けとるなぁ。大丈夫なん?』
机とキスしかけな俺の頭上から今年も同じクラスになった蜜瓏の声が聞こえ、俺はゆっくりと顔を上げる。
キラキラと輝く金髪を揺らし、こてりと首を傾げる蜜瓏の顔にはでかでかと『心配です。』と書かれていた。
・・・うん、今日も蜜瓏は可愛い。
『むちゃくちゃえらい。』
『だでなぁ。』
『こういう日に限って体育がないけぇな・・・。プール入りてぇ。』
『分かるわぁ。夏の間だけ毎日プールがいい。』
それはたぶん無理だと思うぞ、蜜瓏。
お前の番が絶対阻止しそうだからな。
週3回の体育なのに、その内1回は“腰痛”で無理矢理休ませてるくらいだし。
番になってから過保護が加速しすぎてて最早ストーk・・・今何か寒気したわ。
『ゆー君はほんとすごいでなぁ。陸上も水泳も出来て。』
『陸上は元々やっとったけぇな。水泳は家族で泳ぎに行っとっただけし。』
嘉月のご両親がアメリカに行くまでは毎年のように家族ぐるみで海水浴に行っていたから、水泳も出来ると言えば出来る方だ。
でもΩとしての成長が始まってからは陸上と同じで緩やかにタイムが落ちていき、今では50mのベストタイムが1番良かった時よりも5秒くらい遅くなっている。
『そうなんだぁ。ゆー君ほんとにかっこいいでなぁ。憧れるわぁ。』
『やめろ蜜瓏俺が死ぬ。』
櫂吏先輩は神出鬼没なんだ。
もしもこの発言を聞かれていたら、後から絶対チクチクネチネチ言われるに決まってる。
この前も3時間くらいグチグチ言われたし、これ以上の面倒ごとは避けたい。
『褒める言葉は全部櫂吏先輩に言ってくれ、頼むから。』
『?勝手に褒める言葉が出ちゃうのはダメなん・・・?』
・・・あ、ごめん今の取り消すわ。
櫂吏先輩に何を言われようが、蜜瓏優先で行こう。
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ちなみに侑萊が吉岡先輩呼びから櫂吏先輩呼びに変わってるのは、櫂吏と蜜瓏が番になった後いろいろ手助けをしてかなり仲良くなったからです
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