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男女とは別に第二の性と呼ばれる3つの性・・・バース性というものが存在し、10歳に1回と思春期(だいたい15〜18歳)に1回バース検査を行うことが義務付けられている現代。
まだ小学生なのに中学生の問題を軽々と解き、周りから絶対αだと言われていた俺は、検査結果を握り締めて軽く絶望していた。
(俺が、Ω・・・?何でなん?クラスの中でも身長高い方だし、テストもいっつも90点以上取れとるのに・・・!!でも、それ以上に・・・。)
俺がΩだったら、Ωであろう嘉月と番になれない。
ずっと運命の番だと思っていて、いつかは結婚するものだと当たり前のように考えていたのに。と、目には見えない神様を恨んだりもした。
でもそんな恨み言は一瞬で霧散することになる。
『ゆーちゃんゆーちゃんっ!!ぼく、αだったで!!ゆーちゃんもだでな!?』
・・・そう。
まさかまさかの、嘉月の方がαだったのだ。
俺は嘉月の存在自体が好きだから俺が抱こうが抱かれようが問題なかったし、嘉月がαだろうがΩだろうが関係ないと思っていた(もちろんβでも)。
だが、しかし。
嘉月の発言によって、運命の番だと思っていた俺の心がピシリと音を立ててヒビ割れた。
(・・・え?お前がαだったら、普通運命の番である俺はΩだと思わん?まさか嘉月、俺が運命の番って気付いとらんのか・・・?)
その事実は幼い恋心をいとも簡単に傷付けて。
長い長い擦れ違いを引き起こす引き金となった。
『・・・うん。おれもαだったで?』
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