第一章・マンダーの呪い

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 王女エッダは妖精の地へクラウドの台座を調査しに訪れていたが、白カラスが空から舞い降りて王女の肩にとまり、胸元を覗いてからその谷間に鳴き声と共に嘴から書簡を吐き出して落とした。 「ブェッ」  唾液で粘って丸まった紙片を王女が指で摘んで広げると[王死す。しかもアソコを腐らせ、お恥ずかしい死に様。]と書いてある。 「クラウドの予兆が当たったようですわ」  王女エッダがスカートの中に潜り込もうとするエロガラスを足で蹴り払い、美しい顔を(しか)めて妖精の族長と四人の侍女と一緒にクラウドを遠巻きに眺めた。  森と川の望める巨石の連なる窪みに瑪瑙(めのう)の台座があり、1メートル程宙に浮かんでいる。上部は平面で雲の紋様があり、割れない筈の表面には黒い血脈のひび割れが走っていた。
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