私の彼氏はスカートじゃないと喜んでくれない(?)

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*  待ち合わせ時間は11時だった。  でも、いまは11時4分。少し遅刻してしまったけれど、高梨(たかなし)くんはそんなことで怒るような人ではない。  駅の改札口を出て、待ち合わせ場所の正面口に向かう。  いつものように高梨くんは待っていた。ウチの大学きってのイケメンと言われ、その王子様のような整った容姿は、見ているだけで目が眩みそうになる。  少し駆け足で私は彼の元へ急ぐ。  私の足音に気づいたのか、高梨くんがこっちを向いた。 「ごめんね、遅刻しちゃった」 「いいよ、気にしないで」  そう言って、彼の薄い唇が私に微笑みかけた。たまらなく甘い陶酔に浸れる微笑みだ。 「その服、はじめて見た」 「あ、これ?」  私はくるりと一回転してみせる。ワンピースの裾が私に合わせて円を描く。 「このワンピさ、高校ん時に買ったんだけど、久々に引っ張り出してきた。変……かな?」 「そんなことないよ。よく似合ってる」  褒められるとやっぱ嬉しい。夜遅くまで悩んだかいがあった。  この日は、お昼ゴハンに「クラシックバターミルクパンケーキ」を食べた。  
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