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ある日、一人の男が私の檻の前に立つ。
「話がある。ついてこい」
突如として檻の施錠は解かれ、私は男についていくことになった。
どこへ、と言いかけたが、直ぐに理解した。
1つの机と2つの椅子以外、何もない白い部屋だった。
「まぁ、座れ」
何を聞かれるのかわからないが、
ともかく、この男の言う通りにしようと思い男の前に座る。
「何か…」
男は少し考えた表情で、
「何か、思い出したか?」
と、呟いた。
「思い出す……?」
この男は何を言っているのだろうか?
「あぁ、いや。主語がなかったな。記憶は少し思い出せたか?」
男は悪びれたように私に再度、質問をなげかけてきた。
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