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「記憶。どういうことだろうか」
ついつい思ったことを喋ってしまった。
「そうか。まぁそうなるだろうな」
男は何かを思案している。
「…すまない、"今"は思い出せなくていい」
「なんなのだ?」
私は理解が出来ていなかった。いやできるわけがなかった。が正しかった。
「そのうち、わかると思う。そのうちな。…今日の話はそれだけだ。戻ろう」
男は立ち上がり、私を促した。
再び、檻に戻された私を、男はどこか寂しそうな表情で見つめていたのが少し、気になった。
この日は、風呂に入っても私はどこか、気が気でない状態で、
あまり眠れなかったのだった。
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