始まり

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「記憶。どういうことだろうか」 ついつい思ったことを喋ってしまった。 「そうか。まぁそうなるだろうな」 男は何かを思案している。 「…すまない、"今"は思い出せなくていい」 「なんなのだ?」 私は理解が出来ていなかった。いやできるわけがなかった。が正しかった。 「そのうち、わかると思う。そのうちな。…今日の話はそれだけだ。戻ろう」 男は立ち上がり、私を促した。 再び、檻に戻された私を、男はどこか寂しそうな表情で見つめていたのが少し、気になった。 この日は、風呂に入っても私はどこか、気が気でない状態で、 あまり眠れなかったのだった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!