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「あぁ~! あなたがご予約のお電話いただいた川西さんね。どうもどうも」
湯本さんはつぶらな瞳をぎゅっと小さくして笑った。笑うと髭がふさふさと揺れる。
「じゃあ、みなさんいらっしゃいますから先にバーベキュー場の使い方について説明しましょう。ではまず道具類が――」
みなさん、と言っても他の男子達はさっそくキャンプ場で遊びはじめていて真面目に集合しているのは女子だけだ。まあいい。全員で聞く話でもないし。
……と、そう思って彼らを呼びつけることはしなかったのだが、時折、湯本さんの説明が男子チームのはしゃぎ声で打ち消される度に、女子が渋い顔をするのがわかった。男同士が集まればああなるのは当然だろうと大目に見たものの、協調性を重んじる女子達はそうもいかないらしい。きっと、アイツらはあとで怒られるのだろう。南無。
「バーベキュー場の説明は以上です。じゃあ、キャンプ場をぐるっとご案内いたしましょうかね。ああ、お2人だけ来てくれれば結構ですよ」
俺とカッチは湯本さんの後について、キャンプ場を回ることになった。
「ここがロッジです。男女で分かれますか?」
「そのつもりです」
「でしたら、奥を女性用にすると良いです。あちらは室内にトイレがあります。手前のロッジはトイレがないので屋外のトイレを使用してください」
「ありがとうございます。そうします」
「どちらのロッジも定員7~8人の想定なので少し狭いかもしれないけれど寝具は人数分入ってますから」
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