3.後 悔

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 ともあれ、子どもは図太い。  中学に入学後、部活もせず時間を持て余していた俺に母親が子どもクラブのボランティアを探してきた。そこで出会った他校の同級生の女の子。同じ漫画を読んでいたかアニメだったかはたまた肉じゃがの肉は牛肉派だったか。キッカケはさっぱり忘れたが、とにかく意気投合したのだ。俺は初恋に落ちた。  それからは精を出してボランティアに参加し続けた。たまにしか会えなかったが、会えば会話に花が咲いた。学校の友人とは違う。特別だけど特別じゃないような。微妙な距離感が心地よかった。  中学1年生の3学期に彼女は引っ越した。急に父親の海外転勤が決まったらしい。最後のボランティアの日に「よかったら連絡してね」とメールアドレスを教えてくれた。お言葉に甘えて何度かメールのやり取りをした。時差のせいで思うように会話を続けられずもどかしかったが意地でもやり取りを続けた――が、今度は俺の転校が決まった。  転校手続きのバタバタで、ついにメールは途絶えてしまった。  この失恋をきっかけに、俺は人間関係の儚さに加え、恋愛なんて糞くらえ! とさらに拗らせる羽目になった。  7度目の転校。  それが最後の転校だった。俺も中学2年生になり高校受験に挑まなければならない。8度目の引越しはせずに、父の単身赴任が決まった。
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